役員が退職金を受け取る場合には、役職を変更したり、給与を50%下げたとしても
経営に関わっていると判断されると否認されるリスクがあります。
役職や給与を変更しなくても受け取れる退職金!
企業型確定拠出年金に加入して、60歳以降に受け取れば退職金として受け取ること
ができます。
この場合は、代表取締役などの役職を退任する必要もありませんし、報酬額
を50%以下にする必要もありません。
また、経営に関与していても全く問題になりません。
退職所得になるということは、退職所得控除を活用できる上、1/2の分離課税
になりますので、実効税率はかなり低くなります。
具体的な事例を説明します。
40歳で企業型確定拠出年金に加入して、65歳で2千万円を受け取るとします。
勤続年数が25年であれば、退職所得控除は1,150万円になります。
2千万円からこの控除を引いた金額の1/2が分離課税としての課税所得になります。
税金は85万円となり、2千万円に対する実効税率は僅か4%です。
課税所得が900万円以上の人の税率は43%になりますので、割安といえます。
この企業型確定拠出年金に加入すると、役員個人の節税と社会保険料の節減になります。
イデコという年金積立がありますが、掛金の上限が2万3千円なので節税効果は
小さくなります。
役員報酬が月額80万円の役員がこの年金に加入すると年間で25万円も節約で
きます。
奥様やお子様も役員であれば加入できますので、更にメリットがあります。
この企業型確定拠出年金を受け取った後に、本来の役員退職金を受け取ると、また
退職金として税務上のメリットを受けることができます。
例えば、70歳になって後継者に経営を譲って退職した場合に5千万円の
退職金を受け取ると、退職所得控除を再度使えて、1/2の分離課税になります。
ただし、その要件を満たすためには
・先に企業型確定拠出年金を受け取る
・受け取った後に5年以上の期間を空けて受け取る
ことが必要です。
そうしないと、退職金としての税務上のメリットを受けることができません。
1級FP技能士 本川 吉弘