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iDeCo(イデコ)より【断然有利な企業型確定拠出年金】

老後2千万円問題以降、老後不安を解消するために確定拠出年金が注目を集めています。公的年金を補完する私的年金なので、個人年金保険などと同じように老後資産形成の手段になります。
確定拠出年金の大きな特徴は、掛金を自分で運用する点にあります。(ただし、定期預金などの元本保証の選択もできるため必ずしも運用をする必要はありませんが、0%に近い金利では老後資産を増やすことができません。)
また、確定拠出年金には個人型と企業型という2種類があります。どちらの制度を利用したらいいのか迷っている方は、参考にしてください。

iDeCoと企業型確定拠出年金(企業型DC)の違いを理解しよう!

国民年金基金連合会によると、iDeCoの加入者は令和5年2月末の時点で286万人だそうです。
2月の新規加入者数は41,288人ということです。

業務状況|ライブラリ|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】 (ideco-koushiki.jp)

最近「iDeCoと企業型DCは併用できるようになったけど併用するメリットは?」という問い合わせが多くあります。そこで、まずiDeCoと企業型DCの違いを解説します。

iDeCoとは

【加入資格】
国民年金第1号被保険者…20歳以上60歳未満の自営業者やその家族、フリーランス、学生
国民年金第2号被保険者…65歳未満の厚生年金の加入者・公務員
国民年金第3号被保険者…厚生年金の加入者に扶養されている20歳~60歳未満の配偶者
国民年金任意加入被保険者…60歳以上65歳未満の者

【掛金限度額】
60歳未満の自営業者やその家族      月額68,000円
会社に企業年金がない会社員      月額23,000円
企業型DCのみに加入している会社員  月額20,000円
DB(確定給付企業年金等)と企業型DCに加入している会社員   月額12,000円
DB(確定給付企業年金等)だけに加入している会社員   月額12,000円
公務員 月額12,000円
専業主婦(夫) 月額23,000円
【積立期間】
原則65歳まで
【税制優遇】
拠出時・・・掛金は全額所得控除
運用時・・・運用益は非課税
受取時・・・一時金は退職所得、年金受取は公的年金控除
【申込方法】
個人が金融機関を選んで申込手続きをする。

企業型確定拠出年金(企業型DC)とは

【加入資格】
70歳未満*の厚生年金の被保険者(公務員を除く)*事業主の規約による
【掛金限度額】
会社に企業年金がない会社員 月額55,000円
DB(確定給付企業年金等)だけに加入している会社員   月額27,500円
【積立期間】
原則70歳まで(事業主の規約により異なる)
【税制優遇】
拠出時・・・掛金は所得税・住民税・社会保険料の対象とならない
運用時・・・運用益は非課税
受取時・・・一時金は退職所得、年金受取は公的年金控除
【申込方法】
勤めている会社に申込手続きをする。

iDeCo(イデコ)より企業型確定拠出年金が有利なこと、知っていますか?

iDeCoに加入している厚生年金の第2号加入者は、242万人いますが、サラリーマンが加入するのであればiDeCoより企業型確定拠出年金の方が、断然「お得」です。
その理由は

手数料の負担がない

ネット証券会社を利用しても、iDeCoの手数料は最低でも月171円必要になります。
年間で2,052円となりますので、それ以上の運用益がないと残高が減少することになります。
でも、企業型確定拠出年金であれば、手数料は「企業型」なので、勤務している会社が払うことになります。
では、会社からすると、手数料負担が増えるので導入したくないということになりますが
次のメリットにより、手数料負担より社会保険料の軽減効果がありますので、導入した方がいいということになります。

社会保険料が安くなる

iDeCoを活用する理由は、掛金全額が所得控除になるので、税金が安くなることにあります。
しかし、社会保険料については、給与からすでに控除されているので安くすることはできません。
それが企業型であれば、給与から直接引かれることになるので社会保険料を安くすることができます。

下記の図で説明します。

給料が29万円の人の社会保険料は、月額45,210円になります。(40歳以上の人)
iDeCoに毎月2万5千円支払っても保険料の負担は変わりませんが
企業型確定拠出年金の掛金として、会社から払うと給料は265,000円となるので
社会保険料の負担が39,182円に下がります。
節税分も含めると、月額4,748円もiDeCoに加入した時より、手取りが増えることになります。

 

更に、会社負担の社会保険料の負担も下がります。
なぜなら、社会保険料は労使折半なので、社員の負担が下がれば会社負担分も自動的に下がります。
会社にとっては、月に6,028円も保険料負担を下げることができます。
仮に、10人の社員が加入してくれると、月に60,280円、年間だと72万円も軽減できます。
会社の手数料の負担は発生しますが、10人加入でも18万円くらいなので差引54万円もメリットが生じます。
会社にとっても、社員にとっても、お互いWIN・WINの企業型確定拠出年金なのですが
中小企業の加入率は、僅か1%です。
なぜ、こんなに加入率が低いのでしょうか?
その理由は、この制度を推進している人たちが少ないからです。
つまり、この制度があることを知らない人たちが圧倒的に多いのです。
私たちがこの制度の話をすると、ほとんどの経営者は「聞いたことがない」と口を揃えて言われます。税理士さんや社労士さんから聞いたことがないそうです。iDeCoに加入されている社員さんは、会社で導入してもらえるよう働きかけをしてください。

掛金の額が大きい

iDeCoの掛金の上限額は、月額2万3千円ですが、企業型確定拠出年金の上限は5万5千円です。
掛金が多いので、より節税効果が高くなります。
例えば、役員報酬月額80万円の役員の方の場合、iDeCoに加入しないときは税金が年間で136万円となりますが
iDeCoに上限額の2万3千円で加入すると、税金は127万円となり、9万円の節税ができます。
ところが、企業型確定拠出年金に上限の5万5千円で加入すると、税金は117万円となり、iDeCoより10万円も節税できます。
更に、社会保険料が256万円から250万円に軽減されるので、トータルで年間25万円も得したことになります。
iDeCoに加入されている役員の方も、企業型確定拠出年金を導入して、iDeCoから切り替えましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

1級FP技能士
本川吉弘

 

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