メリットあり!企業型iDeCo

iDeCoの加入者は、令和6年5末時点で334万人となり300万人を超えました。
企業型DCとiDeCoの違いを解説します。

企業型確定拠出年金とiDeCo

確定拠出年金には、企業型と個人型の2種類があります。企業型は事業主(会社)が導入しないと加入できませんが、iDeCoは金融機関に申し込むことによって加入できます。加入のし易さという点では、個人型になります。

iDeCoの基本的な仕組み

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、日本の個人が自発的に加入できる、企業型確定拠出年金とは異なる制度です。 以下に、iDeCoの基本的な仕組みを説明します。

  1. 参加条件:20歳以上で、60歳未満の方はiDeCoに加入できます。老後の備えとして、これからの年金生活を考える方に適しています。
  2. 運用商品: iDeCoでは、投資信託や預貯金・保険など様々な金融商品にお金を預けて運用できます。自分のリスク許容度に合わせて商品を選ぶことができます。
  3. 掛金:最低5,000円から始めることができます。掛金の上限額は加入資格によって異なります。
    自営業者月額68,000円
    会社員(企業年金なし)月額23,000円
     (企業型DCのみ加入)月額20,000円
     (確定給付型に加入)月額12,000円(2014年12月から2万円)
    公務員月額12,000円(2014年12月から2万円)
    専業主婦(夫)等月額23,000円
  4. 受取方法:10年以上の加入期間がある場合は60歳から受け取ることができます。受け取る方法は次の通りです。
    ・一時金として
    ・年金として
    ・一時金と年金の併用
    簡単に言えば、iDeCoは将来の年金生活に備えて、自分でお金を積み上げる計画です。お金の使い方や老後の生活スタイルに合わせて柔軟に運用でき、ライフスタイルに合わせて賢く活用できる制度です。

iDeCoの税制メリット

3つの税制メリットがあります。

1.掛金が全額所得控除

掛金が所得から全額控除されるので、所得税・住民税が軽減されます。所得控除を受けるためには、「年末調整」か「確定申告」が必要になります。

2.利息・運用益が非課税

掛金の運用益や利息に課税されることはありません。NISAと同じく非課税となります。

3.受取時にも税制優遇

60歳以後の受け取りとなりますが、一時金で受け取れば退職所得になるので退職所得控除

年金で受け取れば公的年金控除を受けることができます。

企業型確定拠出年金のメリット

企業型確定拠出年金(DCプラン)は、企業が従業員に対して提供する年金制度の一つです。iDeCoと違って、企業がこの制度を導入していないと加入することができません。
特に選択制確定拠出年金の場合、掛金は従業員自身が負担することになりますので、iDeCoの企業版といえます。

企業型確定拠出年金の節税効果

企業年金のない会社員のiDeCoの掛金は上限が23,000円ですが、企業型DCの上限は55,000円なのでより節税効果が大きくなります。
所得税率が高い人ほど、節税効果は大きくなります。掛金を55,000円とした場合の事例です。
住民税を含めた税率33%の人(課税所得695万円~900万円未満)
18,150円の節税効果 (iDeCoの場合は7,590円)
税率43%の人(課税所得900万円~1800万円未満)
23,650円の節税効果 (iDeCoの場合は9,890円)
役員クラスで給料が高い人は、iDeCoより企業型DCに加入した方が有利になります。
運用益への非課税得点と、受取時の退職所得控除・年金控除は、iDeCoと同様のメリットがあります。

社会保険料の軽減

iDeCoは預金口座からの引き落としとなるため、年末調整や確定申告時に税金を戻してもらうようになります。もしその手続きを忘れてしまうと、掛金を所得控除できないため折角の節税も無駄になってしまいます。
ただ、税金についてはそれらの手続きをすることにより還付を受けることができますが、社会保険料は既に給料から引かれているので戻ってきません。
しかし、企業型DCは掛金自体が社会保険料の対象外となるため社会保険料を軽減することができます。
給料が300,000円の人は標準報酬月額が30万円なので、社会保険料率を15.02%とすると45,060円の負担になります。
この人が15,000円の掛金を給料から拠出すると、285,000円が報酬月額となるため標準報酬月額は28万円となり、社会保険料は42,056円になります。
月々、3,004円ほど社会保険料が安くなります。社会保険料は労使折半なので、会社負担も同じように軽減できます。

手数料負担がない!

iDeCoは、掛金以外に手数料が必要となります。ネット証券やネット銀行であっても、月々最低171円必要となります。
企業型DCは手数料の負担は会社となりますので、従業員の負担はありません。会社負担の費用が発生するのですが、社会保険料の軽減で説明しましたように、会社負担の社会保険料が軽減できていますので、実質的には会社の負担は発生しません。
数名の加入で【費用<社会保険料の軽減額】となります。

老後の準備の優先順位は企業型DC!

老後の準備には、様々な貯蓄があります。2024年に改正されたNISAの口座数は毎月増加していますが、老後の準備に限って言えば、NISAより確定拠出年金の方が所得控除にもなるので運用益が非課税だけのNISAより節税効果はあります。
確定拠出年金の運用益も非課税なので、NISAと同じ節税効果があります。

社員の立場からすると、企業型DCの方が有利なので、会社が導入していない場合は導入を働きかけましょう!

1級FP技能士
本川 吉弘

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