年金

企業型DC、4割の人が自分の運用商品を把握していない?

 


4割の人が自分の運用商品を把握していない?

企業型DCで「お金の安心」を育てる時代へ

「老後2,000万円問題」に象徴されるように、今や多くの人にとって老後資金の準備は避けられないテーマとなっています。そんな中で注目されているのが企業型DC(確定拠出年金)。加入者は830万人もいますが、その実態を見ると、約4割の人が自分の運用商品を把握していないという課題が浮き彫りになっています。

自分の年金なのに「知らない」が4割

企業型DCでは、会社が拠出する掛金を従業員が自分で運用していく必要があります。制度としては魅力的で、節税効果や長期的な資産形成が期待できますが、「運用」という言葉に対してハードルを感じる人も少なくありません。

実際に最近の調査では、6割の人が自分の運用商品を把握している一方で、残りの4割は「何に投資しているかわからない」「商品名を把握していない」という結果が出ています。この4割という数字は決して小さくありません。約10人中4人が、老後資金を託している商品について無関心、もしくは無知なままであるということになります。
「わからないからそのままにしている」「初期設定のまま変えていない」といった声が多く、将来の年金形成に対する主体性の欠如が浮き彫りになっています。
運用商品の選択で次のような大きな差になります。2000年5月から毎月1万円の掛金を積み立てた場合
外国株式の投資信託で運用していれば296万円の掛金は、1,358万円になっています。
同じ掛金を定期預金の0.1%に預けていれば300万円にしかなりません。運用商品を何にするかで大きな差になります。

 

 

 

 

DCの最大の強みは「長期・積立・分散」が自然に実現できる点です。特に20~30代の若年層にとっては、複利の力を活かしながら何十年という時間を味方につけることが可能です。しかしその前提として、「どんなリスクを取って、どんな資産で運用しているか」という意識が必要不可欠です。

「放っておけばなんとかなる」という姿勢では、パフォーマンスの悪い商品を選び続けたり、インフレに対応できない運用に陥ったりするリスクがあります。

時間を味方にする「長期運用」の力

DC制度には「時間を味方にできる」という大きな魅力があります。特に20代・30代の若年層にとっては、20年、30年という長いスパンでの資産形成が可能です。複利の力が最も発揮されるのが、この長期運用なのです。

「時間をかければ、たとえ市場が上下しても平均的には資産は増えやすい」と専門家は語ります。ところが、運用を「していない」のと「放置している」のはまったく意味が異なります。適切なリスク管理とポートフォリオの見直しがなければ、せっかくの長期運用のメリットも活かされません。

情報不足と無関心が招く「損失」

自分の運用状況を知らずに放置することは、間接的な「損失」となり得ます。たとえば、長期的に見ればパフォーマンスの悪い商品を選び続けていることも。仮にインフレが進んでも、低金利の定期預金型の商品を使っていれば、実質的な資産価値は目減りしてしまいます。

これは企業の側も無関係ではありません。従業員の将来の安心は、企業にとっても「人的資本の維持」という観点で非常に重要です。制度の提供だけでなく、運用の理解促進と選択支援も今後の課題となるでしょう。

「わからないからやらない」は最大の損失

運用商品を知らない、という状態は、自動車に乗りながらナビを見ていないようなものです。目的地に着ける可能性はゼロではないですが、遠回りしたり、途中で迷ったりするリスクが高まります。

実際に、若手社員のコメントでは、「会社が用意した制度なのに、どう使ったらよいかわからない」「運用って怖そう」という声が見られました。こうした不安の裏には、金融教育の不足や、会社側の情報提供の不十分さも背景にあると考えられます。

弊社では「DC継続教育」を毎年無料で実施

こうした課題に対して、弊社では企業型DCの継続教育を毎年無料で実施しています。
対象は導入企業の社員の皆様で、オンライン形式や対面セミナーなど、企業の状況に応じた柔軟な形式で開催可能です。

内容としては、

  • DC制度の基本と活用方法
  • 資産運用の基礎知識(リスクとリターン、分散投資など)
  • 最新の制度改正(NISA・iDeCoとの併用など)
  • 商品選びの考え方と見直しのタイミング
    といった実務に即した内容を、分かりやすく提供しています。

このような教育機会を通じて、社員の金融リテラシーが向上し、より主体的な資産形成が可能になります。結果として、従業員満足度や企業の福利厚生価値の向上にもつながります。

「見直し」は一度だけでも価値がある

もし今、運用状況を確認したことがない方がいれば、ぜひ一度ログインして自分がどんな商品で資産を積み立てているのかを確認してみてください。どの程度のリスクをとっているのか、目標リターンに見合っているのかを「知る」ことが第一歩です。

そして、わからない部分があれば、会社の福利厚生担当やDCプランナー、もしくはIFAに相談するのも良いでしょう。一度の見直しで、将来の数百万円の差につながることも珍しくありません。


まとめ:DCを“放置”から“活用”へ

企業型DCは、与えられる制度ではなく「使いこなす制度」です。6割の人が把握できている今、残る4割の人が一歩踏み出すことで、社会全体としての老後の安心がより確かなものになっていきます。

そして、企業としても社員の資産形成をサポートすることが、これからの人材戦略の要になるでしょう。
弊社のように、継続教育を提供するパートナーとともに、未来に向けた準備を始めてみませんか?

「わからないままにしない」——それが、資産形成の第一歩。
未来の自分のために、今日から始められることがきっとあります。


1級FP技能士 本川 吉弘

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