年金

米国の確定拠出年金制度の拠出額は「日本の10倍」!

【徹底解説】米国と日本の年金制度の差──年金拠出上限「日本の10倍」の衝撃とは?

少子高齢化や年金制度への不安が広がる中、「老後のためにいくら貯めるべきか?」という問いは、私たちにとって切実なテーマです。

特に、自助努力による老後資金の準備手段として注目されているのが「確定拠出年金」や「個人型年金制度」。

しかし、米国と日本ではこの制度設計に大きな差があります。なんと、年金拠出の上限が日本の約10倍という衝撃的な事実も。


米国の年金制度は“投資”が前提

アメリカでは、社会保障制度に加え、個人が積極的に準備する私的年金制度が強力に整備されています。代表的なのが以下の2つです。

✅ 401k(確定拠出年金)

企業が提供する企業型の確定拠出年金制度で、日本の企業型DCに相当。掛金は給料から拠出され、自己運用が前提。掛金には税制優遇があります。
拠出金の上限は、年間69,000ドル、150円換算だと1,035万円にもなります。
日本の企業型DCの月額の上限は55,000円なので、年間で66万円、日米の差は10倍以上にもなります。

✅ IRA(個人退職勘定)

個人が金融機関で開設できる私的年金制度。収入の範囲内で一定額まで非課税で拠出・運用でき、401kとの併用も可能です。


実際の数字で見る「年金格差」

以下は米国の金融機関「フィデリティ」が公表したデータによる、世代別の401kとIRAの平均残高です。

世代401k平均残高IRA平均残高
ベビーブーマー(61~79歳)24万9300ドル25万7002ドル
X世代(45~60歳)19万2300ドル20万5392ドル
ミレニアル世代(29~44歳)6万7300ドル2万7510ドル
Z世代(13~28歳)1万7350ドル6672ドル

※1ドル=150円で換算すると、ベビーブーマー世代は7500万円相当を保有。
20代のZ世代でも、260万円の残高を保有しています。


日本の確定拠出年金制度との比較

日本にもiDeCoや企業型DCといった制度はあるものの、拠出限度額が圧倒的に低いのが実情です。

  • iDeCo(自営業者):年額最大81.6万円
  • iDeCo(会社員・企業年金なし):年額27.6万円
  • 企業型DC:月額最大5.5万円(企業により異なる):年額66万円

この金額では、将来的な生活費を十分にカバーすることは難しく、アメリカとの制度格差は歴然です。


株式運用が当たり前のアメリカ──401kの普及で株式市場への参加者が増加

アメリカの年金制度の運用対象者を資産別に分けると、株式への配分が8割もあり日本の2倍もあります。
年齢別では
30代までは資産の9割を株式、50代は7割、70代以上でも4割が株式投資に向けられています。

株式投資の拡大と株高により、米国人の試算は大きく増加しています。2023年には401k資産が100万ドルを超えた「401kミリオネア」が前年比3割増加。運用の恩恵を受けている人が着実に増えています。


日本でも必要な制度改革とは?

今後の日本には、以下のような制度改革が求められています。

  1. 拠出限度額の引き上げ(2025年の改正で月額6万2千円になる予定)
  2. 投資教育の拡充(学校や職場での啓発)
  3. ターゲットデートファンドなどの自動運用の導入促進
  4. 「投資は危ない」という風潮からの脱却

これらの整備が進むことで、日本でも「自分の老後は自分で守る」という文化が根づいていくはずです。


✍️ 編集後記:今こそ、自分の年金について考えるとき

米国では、制度面・文化面の両方から「自立した資産形成」が支えられています。対して日本は、まだ制度面も運用文化も発展途上と言わざるを得ません。

しかし、私たちにも今からできることはたくさんあります。

  • 企業型DCやiDeCoへの加入を検討する
  • つみたてNISAで長期投資を始める
  • 自分の年金制度を見直してみる

投資の習慣を根付かせるためには企業の役割は大きく、金融リテラシーの向上のための社員教育が求められます。
企業型DCは、その役目を果たすことができるので、未導入の企業は導入を検討してください。

「気づいたときが始めどき」。未来の安心は、今の一歩から始まります。

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